ご挨拶

ビフィズス菌研究会会員各位

ビフィズス菌研究会
会長 大澤 朗
(神戸大学名誉教授・東北大学客員教授)

 

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
ビフィズス菌の持つ生命科学的な魅力とは、今から100年以上もまえにアンリ・ティシェ先生が明らかにされた「ヒトの乳児の腸内細菌叢でビフィズス菌が優勢となること」、そして約半世紀前に光岡知足先生が明らかにされた「長寿村のヒトの腸内細菌叢にビフィズス菌数が有意に高いこと」が挙げられるかと思います。

特に前者の所見においては、母乳の中に乳児にも利用できない、もっぱらビフィズス菌しか利用できない、オリゴ糖が含まれていることも明らかとなり、私たちはそこに大いなる「意図」、「啓示」とも言えるようなものを感じざるを得えません。このことこそ、これまでの腸内細菌学の分野においてビフィズス菌を対象とした研究業績が非常に多いことの所以かと思います。

しかしながら、近年のオミックス解析技術、すなわち「森を見て木をみる」サイエンスの目覚ましい発展・普及によって、一部の細菌群ではなく多種多様な腸内細菌間の相互作用がヒトの健康に影響を与えていることが明らかとなってきています。

このことを踏まえ、これからのビフィズス菌を対象とした研究は、ビフィズス菌を腸内細菌叢とヒトの健康をつなぐ「1水先案内人」としてとらえ、本菌のヒト腸内での生態や働きを詳らかにする中で、これらに関わる機序が他の腸内細菌にもあるのでは、あるいはそれらの菌と協働してはじめて成立するのでは、と腸内細菌叢の全体像の把握に資する、即ち「木を見て森を見る」取り組みを本研究会の活動通じて粛々と進めてまいりたと存じます。

皆様方のご理解、ご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。